離婚時の「慰謝料」とは

慰謝料とは、「精神的苦痛による損害の賠償」です。精神的苦痛を与えられた人が与えた人へ請求をします。離婚時は有責配偶者が支払い義務を負うことになります。

≪慰謝料請求が可能なケース≫
離婚では、「暴力」「不貞(浮気)」「悪意の遺棄」「生活費を渡さない」「通常の性交渉の拒否」など、”不法行為”を理由とする離婚の場合には、慰謝料の請求が可能です。

≪慰謝料請求が認められないケース≫
一方、「性格の不一致」や「価値観の違い」など、違法性がない場合は、損害を被ったという具体的な事情がない限り、慰謝料請求は認めらません

慰謝料の相場

慰謝料の金額については、精神的苦痛を算定するものですので、非常に困難であるといえます。
したがって、算定するにあたって明確な基準はなく、以下のような要素を総合的に考慮して算定されます。

・離婚原因となった違法行為の責任の程度
・精神的苦痛の程度
・離婚原因を作った者の誠意や態度
・婚姻期間
・子どもの有無やその人数         ・・・などなど

金額的には100万円~400万円程度の範囲内にとどまるのが一般的で、数千万円を超すというケースはほとんどありません。
但し、離婚協議や調停などの際には、慰謝料と財産分与を合算する場合もあります。財産分与の金額が高ければ、慰謝料の金額が低くなることも考えられるということです。現実的に、相手方から確実に支払ってもらえる金額で取り決めることになります。

慰謝料請求の請求期限

慰謝料の請求には、期限があります!!
慰謝料の請求権は、不法行為に基づく損害賠償の請求権の性質を持っています。不法行為に基づく損害賠償請求権は「損害および加害者を知った時から3年間行使しない時は時効により消滅する」(民法724条)とされています。

配偶者に対する慰謝料請求

配偶者に対する慰謝料請求は、離婚が成立した日から3年以内に請求をしなければ時効となってしまいます。
協議離婚で離婚した場合は離婚届を出した日から3年以内、審判や裁判で離婚が決まった場合は審判や判決が下りた日から3年以内、となります。
※但し、慰謝料については、離婚の手続き(協議や調停、裁判など)の中で、財産分与や養育費等の取り決めと併せて話し合い、審理されるのが一般的です。

配偶者の不貞相手に対する慰謝料請求

不倫相手に対する慰謝料請求も、時効は3年で変わりありませんが、配偶者に対する慰謝料請求権の時効とは起算点が異なります。
上記のとおり、不法行為に基づく損害賠償請求権は「損害および加害者を知った時」から3年間行使しない時は時効により消滅します。よって起算点は「配偶者の不貞の事実を知った時」となり、不貞の事実を知った時から3年以内に慰謝料請求をしなければ時効となります。
※不倫相手へ慰謝料請求の裁判をする場合は、民事訴訟となるため、地方裁判所(または簡易裁判所)へ裁判を提起します。家庭裁判所ではないので注意。

ワンポイント

*証拠を保管しましょう!!

配偶者の暴力や不倫により離婚する場合には、以下のような証拠を確保しておくと有利に働きます。
・暴力を受けたときのケガの診断書
・暴力を受けた時の日時や経緯などの記録(メモや日記など)
・不倫相手からの手紙やメール
・配偶者と不倫相手と一緒の写真
・会話や通話の録音記録
・日々の出来事や心情を記録した手帳や日記
(「不貞の証拠」についてはコチラもご参照ください。)

*慰謝料に所得税はかからない!

所得税法施行令第30条3号で、「個人が心身または資産に加えられた損害につき支払いを受ける相当の見舞金については非課税」と規定があります。
慰謝料はこれに該当しますので、原則非課税となります。
但し、社会通念上相当である金額を超えた金員を慰謝料として取得した場合には、課税の対象となる場合があります。

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